こんな時、なんて言えばいいのかわからない。



無口な自分でよかったと初めて思った。



「わぁ、カワイイ…」



小さなサルを見てそう言う若菜。



まつげの長さとか、首の細さ…。



小さいカラダ、抱きしめたい…。



「若菜、似てる」

「えっ!?あたし、サルですか?」

「ははっ!!似てる」

「あっ…サルでいいです…。次行きましょう…」



何だよ、今の。



意味のわからない行動。



顔が赤い若菜。



なんかしたのか、俺。



「おいっ…」

「ケントさん、笑うと…ダメです!!」

「は?」

「か、カワイイ…」



えっ…?



今、笑ったのか?



俺、笑ったのか…。



そうか、今、楽しくて仕方ないのか。



「サル、次」

「は、は虫類です!!」

「嫌い」

「えぇぇぇ!?ケントさん、それじゃあ見かけ倒しですよ」

「うるせぇ、ゴリラ行くぞ」

「…………はいっ!!」



恋愛の初め方なんか知らない。



でも、1日俺は若菜を抱きしめたくてウズウズしてた。