最近楽しそうな悠大が暗い顔をしてる。



陽のせいだ。



「陽んちって、朝比奈財閥だったんスね。知ってました?」

「俺はアイツに関わらない」

「ケントさんの親ってなにやってんスか?」

「飲食店のオーナーシェフ」

「意外~。ケントさんは無愛想すぎて接客とかできなそうだから継げないっスね」

「オイ…」



相変わらずズバズバとモノを言う悠大。



俺は継ぐつもりもない。



親とうまくいってねぇから。



「父親だけでしたっけ」

「ん、親父が日本人だ」

「無口なんスか?」

「普通」

「会話なさそうな家庭~」

「だから家を出た」

「へぇ~、ケントさんにもいろいろあるんスね」



両親が離婚する前は、俺も普通に喋ってた。



日本に来てからだ、話すことが嫌いになったのは。



久しぶりに他人に『自分』のことを話した。



悠大は嫌いじゃない。



こいつも口数は少ないけど、一緒にいれば、ちゃんと話しだす。



慣れたら普通に会話が成立する。