大学生になってる自分なんて、全く想像してなかった。



今頃、海外のクラブチームで世界レベルの相手と練習したり…。



なんで俺、居酒屋で鶏唐運んでんだろ…。



「お疲れ様でしたぁ~」

「あっ、尚道。ちょっといいか?」

「はい?」

「明日、休んでいいから。明日は人足りてんだ」

「でもっ…」

「たまには休め。お前、働きすぎ」



店長にそう言われ、普通なら喜ぶとこ。



でも俺は働いてた方が気が紛れていいのに…。



原付バイクで帰るのは、2年前から借りてるシェアハウス。



みんな寝てるだろうと思い、静かに中に入った。



真っ暗のリビングに、テレビの明かり。



「よっさん!?」

「尚道かよ!!ビビった~…」

「風呂上がり?」

「お前も入れば?」

「ん、そうする」



よっさんは家主。



この家はよっさんがシェアのために建てた。



陽とか悠大は知らないだろうけど、よっさんはめちゃくちゃ金持ち。



そして天才。