【完】最期の嘘




「俺、汐ちゃんを遠ざけるよ。それで彼女を傷付けるのは分かってるけど。それでも、この先俺に関わってもっと辛いよりはいい。」



静かに囁かれたその言葉に、篥ははあ、と溜息をついた。



「そう言うと思ったよ。優太も大概不器用だね。…でも、好きなら愛しぬけとか無責任なこと、俺は言わないよ。」



「うん。……ありがと。」



会えなければ会えないほど、日々募る汐への愛情。



しかし、彼女のために、優太は優しい嘘をつくことを決意した。



「まあ、さ。とりあえず東京に戻るまでは忘れてツアー集中しようよ。」



切なく笑う篥。その顔を横目に優太は三本目の煙草を取り出した。