【完】最期の嘘

「あの日さ、礼ちゃんは立場とか関係ないって言ってたけど、俺らはそういうわけにもいかないんだよねー。」



篥も優太の気持ちが痛いほど分かり、ぽつり、と呟いた。



「礼治君と俺達じゃ、同じ芸能人でも恋愛沙汰になったときの大変さが違うよな。」



優太達は知る人ぞビジュアル系バンド。礼治達暁は、まだまだデビュー一年の若いバンド。



人気になりすぎたシュガビの三人にとって、普通の男として恋愛をすることは難しいのである。



「どうするつもり?」



うなだれて頭を掻きむしる優太に篥は再び尋ねる。



……優太の言いたいことなど、もう分かっているのに。