【完】最期の嘘

二人はホテルの外にある噴水で、それぞれ自分の愛用の銘柄の煙草を手に取る。



「あれ?篥、煙草変えた?」



「うん。セブンスターのメンソールにしてみた。」



篥は長めの煙草を指に挟み、ブハっと煙を吐き出す。



「ねー、優太、代々木の後の夜、あの汐ちゃんとなんかあった?」



篥は遠くを見つめ、そっと優太に尋ねる。



その瞳は夜の漆黒の闇に染まり、篥の少年らしさを吸い込む。



「は…ははっ。篥には敵わないなあ。バレバレ?」



「ばーか。優太が隠すの下手くそ過ぎるだけじゃん?」



小ぶりな口角をふっと上げ、篥は一本目の煙草を携帯灰皿に押し付けた。