【完】最期の嘘

汐も、礼治の色素の薄い灰色の瞳の捕らえている物に気付き、はっと身体が固まる。



「ふふっ。しー、素直だね。」



「す、すみません。」



礼治の一言に汐は顔を赤く染め、照れ隠しに俯いた。



そんな汐の『恋する乙女』な表情に、ときめきと痛みが礼治の心臓にのしかかる。



出会ったばかりの女の子。なのに惚れてしまった自分。



しかし、その女の子の意中の相手は友人であり、ライバルであり、尊敬するバンドマンである優太。



表情には出さないが、礼治の中には敗北感が充満していた。