【完】最期の嘘

「んー、んまい。甘い物、絶対身体にいい。」



冗談で言っているのか本気で言っているのか、礼治の言葉に汐は再び笑みを零す。



礼治はそんな汐の笑顔に、じん、と心が温もりで染みるような感覚になった。



汐の部屋は、女子大生にしては落ち着いていると礼治は思う。



目だけで部屋を観察していた礼治だが、ある場所で視線が止まる。



汐の部屋の仕切りがしてある場所である。



しかし、問題は仕切りの奥が気になるとかそんなことではない。



仕切りの少し横に、落ちているのだ……男物の、シルバーのブレスレットが。



それは、昨日優太が付けていたものと酷似している。礼治はそう思ったのだ。