【完】最期の嘘


…外したら、完璧ばれるよな。



だってこの子、今、テレビ…



優太は改めて自分がその場凌ぎに取った行為を反省した。



このおんぼろなマンション、セキュリティ等勿論ちゃんとしていないわけで



自分の部屋では確実に捕まってしまうと踏んで向かいの部屋に飛び込んだのだったが…



この女の子には罪はないし、しょうがない。



優太は意を決してグラサンとニットを外す。



黒いニット帽からは、優太の自慢の黒髪と……空色のメッシュが現れ、グラサンの奥の涼しげな眼が汐の瞳に映った。



そう……この優太こそ、人気絶頂ビジュアル系バンド『SUGAR BEAT』のドラマーKなのだ。