【完】最期の嘘

「優太さん…?」



「無理して笑うなよ。汐ちゃんのその嘘の笑顔、全然可愛くないよ。」



その優太の言葉は自分を慰めるものだと分かった汐は、そっと優太の胸板に腕を入れて身体との距離を作る。



「大丈夫です。どうせ、どうせ終わる恋だったから。」



でも、それでも本当は、少し辛いんだ。けど、私が泣いていたのは別れが辛いからじゃない。



彼との別れで傷ついたと思っている優太に申し訳ないと思う汐は、顔を上げてその優太の整った顔を覗き込んだ。



優太は頼りない汐の大きな瞳を黙って見つめ返した。