【完】最期の嘘

「ほら、ほっぺの横の髪の毛がパリパリ。やっぱり泣いたんだ。」



優太の真っ直ぐな視線に、恥ずかしいのに目を反らせない汐。



「彼氏と、なんかあった?」



ずばり言い当てられて、汐は再び瞼の奥が熱くなる。



「何かというか…もう、彼氏じゃなくなっちゃったんです。」



なんとかその熱く込み上げるモノを抑え、笑顔を作る汐に優太は胸が痛む。



「別れたの…?」



「はい。もう終わりにしようって言われちゃいまし…きゃっ!」



汐が全てを語る前に、優太の意外とがっちりした身体に抱きすくめられる。



優太からは、ほんのり焼肉屋の香りと彼の煙草の香りが漂った。