【完】最期の嘘


『…はい、もしもし。』



汐のいつにも増してか細い声が受話器から聞こえ、携帯を直ぐさま耳に付ける。



片手では携帯灰皿に煙草を押し付け処理作業。



「あ、俺。ゴメン、寝てた?今日来てくれたからさ、お礼言っとこうと思って。」



『いえ…大丈夫です。こちらこそ素敵なライブありがとうございました。』



心なしか、汐の声が鼻声な気がする優太。



「汐ちゃん、もしかして風邪引いてる?」



『そんなこと、ないですよ…?私体は昔から強いんです…ずっ。』



返答のわりに鼻を啜る音が引っ切りなしに聞こえる。



風邪じゃないなら…泣いてた、とかだったり?