ボロマンションに到着し、車を降りる優太の背中に桜川が言葉を投げかける。 「優太、明日は日比谷野音終わったらすぐに移動だから荷物忘れるなよ。」 「はいよ、お疲れさん。そんじゃ明日また。」 優太はそんなマネージャーらしい桜川の言葉にふっと笑い、了承の証に大きな掌をひらひらとさせた。 「それと、こんなボロマンションそろそろ引っ越せ。ファンにばれたら危ない。」 「大丈夫。ここは貧乏時代から世話になってるししばらくは居座るよ。」 桜川の次の言葉を待つことなく、優太は階段を昇って行った。