【完】最期の嘘

「好きって…今日初対面なのに好きなの?しかも一般の子だよ?」



「時間とか立場とか、関係ない。俺が気に入った、それだけでしょ?」



礼治のあまりにも真っ直ぐな言葉にムッとする自分に気付く優太。



別に、礼治君が汐ちゃんに一目惚れしようが俺には関係ないし。



心の中でそう思っても、やはりもやもやしてしまう。



「…汐ちゃんなら、遠恋みたいだよ。まあ、自然消滅しかかってるらしいけどね。」



「んー、じゃあ、脈あり。」



嬉しそうに頼んだ焼酎ロックを飲む礼治を見て、優太は訳の分からないもやもやが増した。



これじゃまるで、俺も汐ちゃんを好きみたいじゃん。



優太は空色のメッシュの前髪を払いのけ、そんなわけないと溜息をついた。