【完】最期の嘘

2時間もの、長いようで短かったライブもアンコールまで終わり、賑わっていたハコがその賑わいを失う。



汐は会場を一般客と同じ入口から出た。



ひんやりとした外の空気を沢山吸い込み、体を伸ばす。



「はあ〜っ!凄かったな。」



ライブの余韻を残し、満足感に浸る汐。



もう一度空気を吸い込み、肺が満タンになったのでぱあっと息を吐いた瞬間、後ろから羽交い締めされるようにぎゅっと抱き着かれる。



「つーかまえた。」



独特な抑揚のない声。横からちらりと見える銀髪。



汐の隣でライブを観ていて、オーディエンスを湧かせた一人である『暁』のベーシスト、礼治だ。