【完】最期の嘘

『礼治さん』と呼ばれた青年はポリポリと頭を掻いて、ぽやーっとした顔のままステージへ上がる。



汐は隣の人物が暁のメンバーであったという事実にビックリし、腰が抜けそうになっていた。



順平の隣に来た礼治はマイクを受け取り数秒固まる。



『んー…いっつ、さぷらいず?』



不思議な雰囲気を醸し出す礼治にハコの中が笑いで溢れる。



『礼治さん、俺達のメジャーデビュー曲弾ける?』



『大丈夫。多分。』



順平が肩にかけていたベースを渡し、礼治が受け取る。



その間の会話一つにオーディエンスが歓声を上げた。