【完】最期の嘘

順平はその歓声を確認すると、涼しげな目をふっと美しく細める。



『でもね、俺はやっぱり皆には笑顔でいてほしいわけ。だから次は笑顔を作っちゃいます。』



『どうやってー?』と飛び交うオーディエンスの声。



順平が満面の笑みになり、関係者席の辺りを向く。



『実は今日、俺達のライブに俺が尊敬してるベーシストが来てます!紹介しちゃおうかな?


人気急上昇中の暁のベーシスト、礼治さんです!』



向けられた順平の掌の先の人物にライトが当たり、前のモニターに映し出される。



それは紛れも無く…汐の隣の銀髪の青年だった。