【完】最期の嘘

マイクに順平の重低音の魂が吹き掛けられる。



まるでそれは、ハコ中のオーディエンスを包み込むような、そんな声。



圧倒的で、身体の全てを支配するような低く、甘い歌声。



しかしシュガビの良さはこの低く甘い歌声だけではない。



篥のその、かわいらしい見た目とは裏腹な、パワフルでかつフレッドを滑るように動くギター。



優太の踊るようでいて何よりも的確に打ち込まれるドラム。



順平の、歌いながらではあるが地盤をしっかり造っているベース。



彼らの『音』は歌声に勝るとも劣らない美しい旋律を奏でているのだ。