【完】最期の嘘

一般のオーディエンスとは違う裏の通路を使い、会場の用意された場所に着く。



会場はオーディエンス達で賑わい始め。汐の緊張も高まる。



桜川に案内された場所に立ち、目だけで辺りを確認する。



開演が近いのか、もう会場は薄暗くほとんど周りはわからない。



ほんの少しの光で、隣の人の暗がりでも光を吸収するような銀髪だけがよく見えた。



うわー、やっぱりこういうところに一人で来るものじゃないなあ。



汐は緊張し過ぎで身体の中身を全て吐き出したくなる衝動を抑えながらステージの方をまっすぐ見据えた。