【完】最期の嘘

汐は大学が終わるとまっすぐマンションに帰る。



すると、この間の優太の車がすでにマンションの駐車場に待機していた。



汐は運転席側に向かい、コンコンとウィンドウをノックする。



すると、黒い硝子のウィンドウが開き、優太の顔が覗く。



「ちょっと仕事で事務所に寄らなきゃいけないんだけど、待ってもらえる?」



「あ、はい!大丈夫です。」



汐がもげそうなほどに縦に首を振るものだから、優太は笑みが零れてしまう。



「あの…何か?」



「や、ゴメンゴメン。とにかく乗って。」



優太に指示された通りに、汐は助手席のドアを開いた。