【完】最期の嘘



ブーケを投げた花嫁美恵は、歩いて来た道を戻り、真っ直ぐ汐のところへやって来る。



「ホントはブーケ、汐ちゃんにあげたかったけど…変わりに、って言ったらなんだけど。」



美恵はその色っぽい顔で汐に笑いかけると、頭に着けていたウエディングベールを汐かける。



「ね、幸せになってね?」



今にも泣き出しそうな汐の肩をとんとん、と叩くと、その肩を掴み優太に押し付けた。



「ほら!優太さん!私がしてほしいこと分かるでしょ!?」



優太は一瞬考えるような仕種をしたが、やがて明るい表情になり、汐を担ぎ上げた。