【完】最期の嘘

しかし、一番何かが変わったのは礼治かもしれない。



「しっかし、未だに信じらんないよなあ。礼治君、今や子持ちだもんね。」



「正確に言えば、彼女の、子。けど、彼女の子、俺の子。」



幸せそうに笑う礼治の開いた携帯電話の待受は、若い女性と小さな赤ちゃん。



汐との関係も終わり、仕事に夢中になっていた礼治が出会った新しい女性。



未婚の母で、色んな過去を背負う彼女だけど、礼治は嘘偽りのない愛で彼女を包み込んだ。



自分に嘘をついた後素直になることがどれほど難しいか、経験したからこその幸せだ。