【完】最期の嘘

あの『アネモネ』という曲を書いた日から、優太は妙な開放感で溢れていた。



好きなのに傷付けて、好きなのに手放して。



しかし、自分の気持ちが明確に出来たことで、もやもやしていた霧が晴れたような気がしたのだ。



荒れていた生活も治まり、今は汐を思い出さないように、忙しく仕事をこなした。



汐を愛する気持ちは変わりない。



ただ、その止まらない気持ちを抑えようとも思わない。



会いたくて、想い続けたくて…けれど汐は礼治のもの。



一種の片想いのような状態のためか、以前より真っ直ぐに自分の気持ちを受け入れられた。