美恵に呼び出された汐は、指定された時計台の前に立っていた。 かじかむ手に、はあ、と息をかけると白い息が夜の闇にぼわんと浮かぶ蛍光灯に吸い込まれる。 しばらく待っていると、白いベレー帽に紫かかったサングラスをかけた美恵がやって来る。 遠くにいても、そのスタイルと金色の髪の毛が、存在感を引き立てている。 「呼び出しておいてゴメンね、寒くなかった?」 美恵は小走りで汐に駆け寄り、持っていたカイロと掌で汐の手を包み込む。 汐のかじかんだ指先は、温もりを与えられ、じん、と痺れた。