【完】最期の嘘

優太は胸ポケットから煙草の箱を取り出す。



「あ、汐ちゃん、煙草吸っても大丈夫?」



「どうぞ。兄が喫煙者なので大丈夫です。」



汐が答えると、優太は高そうなジッポで煙草に点火した。



カッコイイ人が煙草を吸う姿ってかなり似合うな。



汐は優太の長くごつごつした指に挟まれた煙草をぼんやりと見つめた。



「ねえ汐ちゃん。」



「あ、ハイ!」



ぼんやりしていた汐に優太が突然話し掛けるものだから、汐はパッと顔を上げる。



優太はその姿にクスリと微笑み煙草の煙を噴いた。