【完】最期の嘘

優太の車に揺られ、到着したのはオシャレなバー



…などではなく、寧ろ、会社帰りのおじさん達が飲み会に使うような居酒屋。



「ゴメンね。お詫びとか言いつつこんな店しか知らなくてさ。」



「いいえ。私もイタリアンとかより、こういうお店の方がいいです。」



汐は、正直のところホッとしていたのだ。



もし高級なお店などに連れて行かれたら、ただでさえ緊張しているのが大変なことになりそうだからだ。



優太さんって…意外と普通の人なのかな?



汐は目の前でテーブルの水のグラスを回す優太を見て、やっと少し安心した。



優太の遊ぶグラスは、カランカラン、と氷が硝子と接触する音を響かせていた。