外は、いつの間にか土砂降りになっていた。 礼治は、車のウィンドウを叩く大粒の雨に立ち向かうように、ただひたすら汐の部屋へ向かう。 …本当は、優太が仕事のために汐を手放したのではないことくらい気付いていた。 しかし、怒りが止められなかったのは、優太の汐を大切に想いながらも、傷付けたその選択へ対するものが込み上げたからだ。 何故、しーが、傷付く必要があるの? 礼治のビー玉よりも濁りのない灰色の瞳は、切なさに歪んだ。