【完】最期の嘘

そんな優太に、礼治は殆どあらわにしない感情をぶちまけた。



その白く細長い腕が、優太の服の首元ををぐっと掴み、顔を寄せている。



「ふざけるな。ユータ、最低だ。しーは、しーはあんたをどれだけ大切に想っていると…!」



真っ直ぐ、澄んだその礼治の灰色の瞳に捕らえられ、優太は細い眉を寄せる。



「…分かった。もう、しーの想いなんて関係ない。俺が、しーを守る。」



礼治は黙秘を続ける優太を放し、千円札を置いて走って行った。



優太はその背中を、黙って見送ることしか出来なかった。