「あお!」 その背中に、垣枝の声が届く。 あたしは立ち止まって、振り向いた。 「…菊地に、悪かったっち言っちょいて」 不機嫌そうな顔でそう言うと、すぐに背を向けて歩き出す。 ちょっと驚いたけど、軽く微笑んで「わかった!」と叫んだ。 垣枝は垣枝なりに、みどのことを考えてるんだ。 それはみどにとっても、辛いことじゃないはずで。 みんな自分なりに、それぞれのことを想えればいい。 そんなことを、小さく思った。