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太陽がそろそろ憎くなってきた。

容赦なく降り注ぐ紫外線。それは肌だけでなく、ただでさえ明るい髪を焦がす様に痛め付ける。

「あー…トリートメントしに行きたい」

部室を出ながら綾が呟く。摘まんだ髪の毛はあたしの髪より幾分か明るい。夕日がそれを、より一層際立たせた。

「あおあんま傷んでないよね」
「そう?だいぶいじめちょるけど」
「綾なんかほら、枝毛だらけじゃし」

綾が見せてきた髪の毛の先は、確かに木の枝状態だ。「ちょっと切ろうかなぁ」と言う綾の言葉に、あたし達は素直にそれがいいと頷いた。

今年は梅雨がないのだろうか。
そう思わせる程、6月に入ってからの雨は少なかった。そんな気象がもたらすのは水不足だけじゃない。

「部活休みにならんかなー」

由利が嘆くのもわかる程、あたし達は連日乾ききったグラウンドを走り回っていた。

走るのは好きだ。だから陸上部に入ったのだし、部活が嫌だと思ったことはない。

でもこう暑い中毎日砂ぼこりと共に走っていては、嫌気くらいさしても当然だ。

スカートをもうひとつ折り曲げて、オレンジ色の空を見上げた。

太陽は威力を弱めることもなく、あたし達を見下していた。