彼の細くてキレイな指が、上手に私の肌を隠している布をどかしていく。
熱くてやらしい舌が体をなぞる。
自分の声に興奮しながら彼の頬に触った。
彼以上に私を喜ばしてくれる人はいない。
獣のように荒々しく動く姿がどうしようもなく愛おしいの。
優しくない彼が好き。
事が終わってからタバコを吸っている彼が私に手を差し伸べた。
「いつもの」
はいはい、いつものね。
リビングのテーブルの上に置いていた財布を取ってきて、1万円札7枚を彼に渡した。
「どうも。亜矢、愛してるよ」
そんなこと分かってるわよ。
でも、言葉で言われると嬉しいわ。
「じゃあな」
もう帰っちゃうの?
玄関に向かう彼は1度も私の方を振り向かない。
ドアを開けて家を出る時でさえ見てくれなかった。
……寂しいけどワガママは言わないわ。
お金を用意しておくわ。
また来てね。
――私は貢な彼女。
【完】


