黒のウール素材のショートパンツ、
白とグレーの細ボーダーニット、
ベージュのノーカラージャケット
ストッキングにはハート柄、
そして、細身のブーツ。
着替えた私は、
あまり着たことがない洋服に戸惑い、
鏡の前に立ち尽くしていた。
「理子さん、もうエエ?」
頃合いをみて、
安井さんが、フィッティングルームの外から声をかけた。
「はい、今、出ます」
フィッティングルームのドアを開け、
店のフロアまで出た。
安井さんも、いつの間にか、スーツから、
ジーパンに白のタートルネックセーター、
紺のジャケットのカジュアルな格好に着替えていた。
「やっぱ、こっちも可愛いなぁ」
私を、じっと見て、
近付く安井さん。
「寒うなったら、これ」
私の首に濃いピンクの
マフラーを
フワリと巻いた。
その時、微かにムスクの香り、
晃一さんが、特に何もつけていないから
よけいに、その香りが記憶に残った。
「ほな、行こ」
私の手を引き、
店を出ようとした
「安井、ちょっと待った、これ、彼女の着物」
私が脱いだ着物を店長さんが
きちんとたたんでショップのバックに
入れてくれていた。
男のヒトが、着物をたためるのは、かなり珍しい。
「あ、スミマセン、ありがとうございます」
私がそれを受け取ろうとすると、
安井さんの手が先に伸び、私の代わりに店長さんから受け取った。

