「リコって言うんや、先輩は・・・」
「え?!」
私の前に座っていた安井さんは、私の隣に座ってきて、
私の横顔を見つめてきた。
「リコちゃんの好きなヒトって、やっぱり晃一先輩やったんや、
お見合いで先輩とすれ違った時、なんかおかしい思たもんなー」
座っていたソファーの背もたれの縁に
安井さんの片手がおかれ、
まだ、じっと私を見つめる。
目を合わせたら、いけない・・・
そんな、気がして、反対側に顔を背けた。
「なんで、こっち向けへんの?」
私の方へ覗きこもうとする。
「・・・・い、いえ、あの・・・」
絶対、目を合わせちゃいけない・・・
俯いて安井さんを見ないようにする。
「なぁ、リコちゃん、もう先輩のことは、諦めた方がいいと思うで」
「どう・・・して・・・?」
ゆっくりと、安井さんの方に顔を向けた。
「晃一先輩ほどの財閥は、いろんな柵があるやろ?
リコちゃん、キツイこと言うけど、
君が先輩と一緒になったとして、
あの輪の中で、堂々としていられる?
各界の大物相手に君が耐えられる?」
「・・・・・・」
何も言えなかった。
私は、あの会場から逃げだした。

