安井さんの手に引かれるまま、彼の後について行った。


気が付くと、会場の外。


「ここで待ってて、今、車とってくるから」


そう言って、安井さんは、駐車場に向かった。


晃一さんは、


あの女性と本当に婚約するのかも・・・


せっかく、毬子さんや啓人さんが協力してくれると言ってくれたのに・・・


勝手な行動をとってしまった。


二人に申し訳ない気持ちになった。


私は、安井さんを待たずに、


そのまま、建物を出た。


ポツポツと、頬に冷たい雫。


寒い・・・


外は、冷たい雨だった。


だけど、そんなことは、もう、かまわなかった。


早く、この場から去りたい。


この大きな屋敷から・・・


すると、


後ろから、車のエンジン音が聞こえ、


「理子さんっ、待っててゆーたやん!
そんな濡れてっ!風邪ひいてまうでっ、はよー乗って!」


車の窓から私を呼ぶ安井さん。


そんな声も、聞こえない。


バンッ


車を降りて、私を抱き上げ、車に乗せようとする安井さん。


「いやっ、降ろしてっ、
あなたとは、行かないっ!いやっ!」


安井さんが私を抱える腕を叩き抵抗した。


そんなことも構わず、がっちりと私を抱き上げている。


「・・・コちゃん! リコっ!!!」


建物から、私の名前を呼びながら走ってくるヒト・・・・


顔をそちらに向けた。


「・・・・晃・・・一さん・・・」


そんな私の言葉など聞き入れず、私を車の助手席に強引に乗せてしまう安井さん。


乱暴にドアを閉め、


運転席に乗り込みアクセルを踏む。