「うん、そうなの」

「へぇ。手作り?」

「うっうん」

男の子はクッキーをじっと見たまま、動かない。

こっこれはもしかしなくても…!

「たっ食べたいの? クッキー」

「うん!」

男の子は眩しい笑顔を浮かばせた。

「でもそれ、わたしが作ったのだし…」

「でもおねーさん、裏口から出て来たってことは、このお店の人なんでしょう?」

「まあね。でもまだ半人前だし…」

「でも美味しそうだよ」

…さっきから、『でも』の繰り返しが激しいなぁ。

お互いに譲らないものだから。