紅芳記


徳川屋敷の中に入り、適当な部屋に入れられました。

そこには般若の形相の世都が。

「世都が知らせてきてくれました。
姉上が屋敷を抜け出したと。」

「奥方様、早くお戻りを。」

「嫌よ。」

「姉上!!!」
「奥方様!!!」

二人の声が重なります。

「お屋形様は?」

「一昨日、肥前にむけ出立されました。」

「昨日、お伺いしたいと伝えたたずよ。」

「えぇ、私が受け取りました。
姉上のことですので、絶対に来るだろうと、あえて知らせませんでしたが。」

「では、父上は?」

「お屋形様と共に。」