いつの間に色褪せてしまったんだろう、君と過ごした様々な記憶……。


巡り合い

それは不埒な出逢い。

文字だけのプロフィール、メールだけの印象に思いを馳せ、互いの感覚にシンパシーを覚えた。


魅かれ合い

それは運命のイタズラ。

毎日のメール交換と共に恋が芽生え、互いの実像を欲するようになった。


愛し合い

それはひと時のたわむれ。

初めて逢ったその日から激しい思いは交錯し、欲望を包み込む温もりは、淫らに溢れかえった。


求め合い

それは際限の無い愛しさ。

時間差の逢瀬、君が辿った後を僕が歩く。
君が見た絵をまじまじと眺め、君が触れたというオブジェを撫でた。それでも二人は繋がっていた。


与え合い

それは永遠の約束。

肉体の隅々、細胞のひとつひとつ迄慈しみ合い、快楽という枠を越えた愛情を注ぎ合った。そして互いを前世の半身と認め合う。


すれ違い

それは当然の成り行き。

互いの恋の温度差に戸惑う。紙面上の契約に拘る女と、一緒に居る時の愛の深さを尊ぶ男がそこに居た。


憎み合い

それは避けられない事実。

傷付け合い

それはもはや必然。

そして……2人は別れた。



あの頃の情景はとうに色を失ったけれど、思い出す度に鼻の奥がツンとするんだ。

☆彡