目は反射的に、一人の人物を捕らえた。 サッカーボールを熱心に追いかける、その姿。 白いカッターシャツが太陽に眩しく反射して、ついぼうっとなってしまった。 「未羽、どこ見てんのっ。早く行くよっ!」 凛子はしびれを切らせて、あたしの制服の襟をつまんだ。 わたしははっと我に返って、グラウンドから目を離した。 「未羽ってさ、たまにどっか見てるよね」 「え…そう?」 「そうだよ。いっつもいっつも、どこ見てんの?」 「はは…分かんない」 わたしは苦笑いすると、屋上へ続く階段を昇り始めた。