「はぁ…はぁ…っ」 走った勢いのまま、わたしは家まで帰ってきてしまった。 玄関の鏡に映ったわたし。 唇の横から、微かに血が出ていた。 「な、何なの……」 壁にもたれた途端、力が抜けた。 わたしはその場にすとんと座り込んだ。 何で、イキナリ。 蒼太は、なんでわたしにキスなんかしたの。 『俺も居るよ。好きな奴』 この言葉を思い出すと、ますます謎が深まってしまった。 蒼太の好きな人…。