『あのね、ママにはまだ言ってないのよ。 私のところは、あんたの後を付けたんだろうけど。 実家の電話は大体留守電に切り替わるし。 ママにも確認したわ。 知らない人からの電話は受けてないって。 …だから、知ってるのは私だけ。 これからどうするの?』 姉の言葉が、耳の奥で響いている。 どう姉に返事をして、どうやって姉を帰したのか、綾香は思い出せない。 ──どうしよう…。 ──私、どうしたらいいんだろう。 .