──今の俺が、こいつに何を言えるんだろう。 十年前の自分が、目の前にいるような感覚に陥る。 「…俺も、十年前、今のお前と同じように悩んでた」 声が掠れて、うまく話せない。 「…センセーも?」 はっとしたように卓也を見上げる生徒を見て、苦笑する。 「センセーはその時どうした?」 うまく声が出てくれない。 「…俺は…」 .