折れそうになった心を持ち上げられるのは自分しかいないということを、綾香はもう、知っていた。


周囲の言葉が支えになることもあるが、結局最後には自分自身で持ち上げなければ、心は元には戻らない。




瞳から流れる涙と、ひりひりと痛む心を、綾香は新しいパンプスのせいにした。


痛いのは、靴擦れしたせい。


涙が出るのは、足の小指にできた肉刺が潰れたせい。


そう言い聞かせた。


他の誰でもなく、綾香自身に。


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