絶望とは、優しくなろうとした末に生まれた結果。 優しさとは、痛みを知ろうとした末に生まれた情。 ──私は今も、どちらにも辿り着けずにいる。 深秋の風が、頬に刺さる。 いっそ早く雪でも降ってくれれば、少しは暖かくなるのに、どんよりと厚い雲からはまだそんな気配はしない。 ──なんで私は冬生まれなのよ。 ──誕生日なんて、ちっとも嬉しくないじゃない。 .