彼の唇が綾香のものと重なるたびに満たされた気持ちになり、離れた途端に寂しくなる気持ちともっとほしいという想いが、綾香の中で膨らんでいった。


ふたりで迎える"初めて"が増えていくたび、幸せな気持ちでいっぱいになった。


彼の温度が手が届くところにあれば、きっとこの先も強く生きていける、と綾香は本気で思っていた。


だから、誰に何を言われようと、どんな理不尽なことをされようと、綾香はめげずにいられた。


隣で彼が笑っていてくれるだけで、どんなことも乗り越えていけるような気がしてた。


どんな鋭利な言葉を投げかけられても、どんなに心の中が血塗れになっていても、彼の隣では笑っていられた。


.