彼女の左手で、煙草が細い煙を登らせていた。


歪んだそれは卓也の感情に少し似ていて、虚しさが胸に渦巻いた。


彼女のその薬指で光るものを見つけた瞬間に、卓也は息を詰まらせた。


外したくなくて、それでも外せなくて、今も卓也の首元にあるそれと同じデザインのものが填められていたから。


「…それ、なんで…?」


何が?と言うような目で卓也を見つめる彼女に、教えるように指をさした。


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