彼は知らなくて当然だ、と思った。 今なら言えることがある、綾香は腹を括った。 「十九歳になってすぐの頃から、大学卒業するまでゴールドコーストに留学してたの。 向こうは十八歳で成人だから、煙草もお酒もオッケーなの」 さらに意外そうな顔をしている。 「…留学?」 別れてから、相手がどこで何をしていたのか、ほんとうになにも知らなかったのだと改めて思った。 綾香も彼が何をしていたのか、よく知らない。 .