盗賊の頭なのだろう。
最初に声を発した男が馬から下りると、その前にいた男たちが無言で道をあける。
譲られた道を当然のように歩きながら、男はニュクスのすぐ目の前で中腰になった。
「へ~。もうすぐ20歳になるってぇから、色っぽい女を想像してたんだがな。
いい女っていうよりは、美少女って方がぴったりくるな」
「無礼な!」
男がニュクスの金髪に触れると、侍女が制するよりも先に、
彼女は鋭い声とともに男の手をぴしゃりと跳ね除けた。
まもなく20歳を迎える、世間一般でいえば女性と表現しても差し支えのない年齢であるにもかかわらず、
細い面にくるくるとよく動く愛くるしい瞳のニュクスは、男の言うとおり、少女という方がしっくりくる。
黄金の髪に、水色の瞳。
年齢よりも幼い印象の残る彼女は、まさに美少女と形容するのがぴったりな容姿をしていた。


