馬のひづめの音よりも大きく、地に響く振動が地面に接している腰や太ももからずしりと感じられる。
そう思った時には、馬に乗った14、5人のいかつい男たちにぐるりととり囲まれていた。
「ニュクス、だな」
円の一歩後ろにいる40代ほどと思える男が、にたにたと笑いながらいやらしい声を発する。
「姫様」
侍女は震える両手で、ニュクスと呼ばれた少女の体を守るようにきつく抱きしめた。
「私に、何の用です!」
ぴんと背筋を正して、凛とした声を放つ。
ヒュ~、と誰かが口笛を鳴らした。
「深窓のお姫様だって聞いてたけど、なかなか気の強い女じゃねぇか。
それにえらいべっぴんさんだな。
お嬢ちゃま、おじさんたちと遊ぼうぜぇ?」
ゲヘヘヘと、一斉に下卑た笑い声が飛んだ。


