ニュクスの部屋の窓から見える大きな大木の葉が、その役目を終えて静かに地面に舞い散った。



・・あんな風に干からびる前に迎えに来るんでしょうねぇ。



ニュクスはその様子を窓越しにぼんやりと眺めた。


そのうち、またひょっこりと部屋に現れるのではないかと思っていたが、

ロカとはあの晩を最後に、一度も会っていない。


ガサリ、と木のざわめきが聞こえるたび、もしやロカが来たのではないかと、

ニュクスは毎回窓辺に視線を向けたが、

最近ではそれを期待することもなくなっていた。


王となるべく教育を受けていないロカにとって、今は正念場だ。

おそらく軽口を叩く暇もないほど、忙しいに違いない。


呼んでくれれば傍で支えてやれるのに、などと考えるたびに、

ニュクスは自分がロカに惹かれているのだと自覚されて、自己嫌悪に陥った。



・・違うわ。これは、私の義務なのよ。

私がきちんと操縦しないと、あんな男がそのまま王になったらこの国が終わってしまうじゃないの。



また一枚、風もなく枯れ葉が地面へと舞い落ちた--。