「ん~?ああ、あの礼金のことか!
そうだな、貧しい者に分け与えた」
「うそおっしゃい!」
あまりにもうそ臭い態度だ。子どもでもひっかかるまい。
「あはは。ばれたか。女を買って酒飲んだら一晩でつかっちまった」
「まぁ!」
どうせそんなことだろうと予想はしていたが、本人の口から聞くとなるとまた違う思いが発生する。
だからといって、うそを突き通されてもそれはそれで腹がたつのだが。
「呆れた」
あまりにもあっけらかんとしたその態度に、ニュクスの怒りが素通りしてしまった。
ロカは楽しそうに高らかに声を上げて笑うと、上半身だけをニュクスからそらして、
彼女の体を上から下までじろじろと眺める。
「なんです?」
「いや~、しばらく女を買わなくてすみそうだな、と思ってさ」
「なんですってぇっ!!」
「あはは。そう怒るなよ。いい女だって、褒めてるんだからさ!」


